20年近く前に発行された青木新門著「納棺夫日記」(桂書房)を今日、読みました。
映画「おくりびと」との関係で、一時期、青木氏のこの著作が話題となっていました。
「おくりびと」は脚光を浴びましたが、主役でもあり、この映画の構想を練ったという本木雅弘と青木新門との間で何度か話し合いが持たれたようです。
映画紹介で次のように語られているのがネットで公開されていました。
「本木さんと青木さんの馴れ初めは、本木さんが27歳の時にインドを旅した後に、自分の本の中でベナレスで沐浴する自身の写真に添えて『納棺夫日記』の一節を引用させてほしいと、青木さんに申し入れたことに始まるそうです!」
映画化にあたっては、ストーリーがかなり変えられていて、結局、青木氏は「原作」とすることを断ったようです。
この本を読んでいる途中、何度か読むこと自体を止めようとしました。簡単に言えば、気分が悪くなったのです。蛆(うじ)がわいている死体や轢死体などについて、かなり具体的な記述があり、先を読むのが怖くなってしまったのです。
途中から、生と死、宗教、特に仏教(浄土真宗)に関わる彼の考えが書き綴られ、「日記」という範疇を超えた読み物になっています。「日記」が3章、ノンフィクションに近い短編小説が2編収録されていて、後半は、落ち着いて読むことができました。
最後に、著者が引用している正岡子規の「病床六尺」の一部を紹介します。この引用が著書の5つの内容を収れんしているような気がします。
「悟りといふ事は、如何なる場合にも、平気で死ねることかと思って居たのは間違いで、悟りといふ事は如何なる場合でも、平気で生きて居ることであった」
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