2011年1月18日火曜日

万葉の国 大和三山殺人事件

貴島政人氏(執筆・出版時は、ある医療機関に勤務されており、2年もの歳月を費やして書き上げられたそうです)の「万葉の国 大和三山殺人事件」(阿羅人舎)を読みました。


もし、このブログを関係者がご覧になることがあれば、ひたすらお許しを請うしかありません。「労作」にけちをつけるつもりは全くないことをご理解下さい。自分で小説を書いたこともない凡人の戯言と思って下さい。


昨日、宮部みゆきの「孤宿の人」という素晴らしい時代小説を読み終えた直後だからではありません。「万葉の国 大和三山殺人事件」の表現の稚拙さ、言葉の誤り、字のまちがい…「文学」以前の初歩的なミスに何度も出くわし、せっかくの著者の苦労が台無しとなっていることが残念でなりません。これは、出版社に責任があることなのかもしれませんが…。

読み始めて、すぐに疑問符のつく箇所が出てきます。(P17)「背広姿の男が四人」と書いたすぐ後に「大柄な制服姿の署長」とあります。警察署長の制服が「背広」なのでしょうか?この四人に署長が含まれていることは否定できません。


一人目の殺人があった日の捜査会議。松本部長刑事の言葉(P21)「この日も朝からの猛暑で」と書かれており、こう書くと捜査会議は事件とは違う日に行われたことになってしまいます。おかしいなあと読み返すと、やはり死体発見の当日に会議が開かれていて、「この日も」という言葉がいらないことになります。(P191)「尊敬を抱く」という言葉はありません。「尊敬の念を抱く」のです。(P195)「耳を覆いたくなる」とあります。耳は塞ぐものです。覆うのは目です。「耳を塞ぎたくなる」とすべきです。(P239)「誰の姿が見えなかった」は「が」を「も」に直したとしても、矛盾する書き方。窓枠に足をかけた美島がそこにいたのですから。(P241)「警察の手を委ねる」は「手に委ねる」。


まだ言葉遣いのまちがいはありますが、文字のミスについて。(P100)「横河の心心遣い」、これは心と心の間の読点が抜けたのか、心が一つ多いのか? (P155)「車ニ台」と二がカタカナになっています。(P211)「カンズメ」は「カンヅメ」が正しい。(P222)「よくく理解」は「よ」が抜けたのか、「く」が多いのか?


こういった具合で、物語の内容を味わう気分にはなれないまま、最後まで読んでしまいました。働きながら作品作りをする大変さは想像に難くありません。いや、想像以上でしょう。それだけに、出版に関わる人たちの責任が問われます。

こんなことを書く私自身の「悪文」は横にオイトイテ…。
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