2011年1月10日月曜日

教育格差

「積ん読」状態から、また新たに一冊が脱出。

教育評論家としてテレビや新聞でおなじみの尾木直樹と、経済アナリストとしてテレビ出演の多い森永卓郎の対談集「教育格差の真実」(小学館)を今日、読みました(約200ページの本ですから、あっと言う間に読める本です)。


もうずいぶん昔、尾木氏がまだ現職教員だったときに「学力」についてのお話を直接伺う機会がありました。ですから、大学教授として頻繁にメディアに登場するようになってから、彼の本質をつく談話や発言には、ずっと拍手をおくってきました。


この本を購入したのは、退職前。第一章「深化する格差社会」を読んだ後、もう教師生活を終えようとしてしている頃でしたので、そのときに「積ん読」状態だった音楽関係の本を優先して読み始めてしまい、以来、ずっとそのままだった本です。

また最初から読み直し、第二章「経済格差が教育格差を生む」、第三章「教育格差と偽装学力」、第四章「格差時代をどう生きるか」まで、休憩なしで読み終えました。

ぜひ、読んでいただきたい本ですが、印象に残ったごく一部分だけ紹介します。

「だから、習熟度別授業というのは、悪く言えば『偽装学力向上授業』なんですよ。=省略=学力が上の子も下の子も共通の教室で、それぞれの多様な生活体験と個性的な想像力を働かせながら、一つの真理や真実に向かってハシゴ段を上るようにみんなで上る。同じ正解に達しても、その質が違うんです。立体的で実に豊かな認識を獲得できるんです。これこそ本当の"学び"なんです。」


「実は、教育も同じなんです。だいたい数値目標を掲げて、成果を争う競争原理主義を教育政策にも導入すれば、学校間格差、学力格差などが広がるに決まっているじゃありませんか。高校だって学区を取り払って全県一学区制にして競わせれば、全体の流動化が激しさを増し、結局一番からビリまで序列化される、たったそれだけです。=省略=挫折を味わい心に傷を持ったやる気の失せた若者を大量に生み出すだけです。」
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