「書物狩人」で苦しめられた赤城毅のコンゲーム小説(「カモ」の信用をあの手この手で勝ち取って、まんまと大金を巻き上げるといったタイプの詐欺手段を駆使し、「知的」な要素に重点を置いたミステリー小説の一分野)、「贋作遊戯」(光文社文庫)を読み終えました。
「解説」によれば、日本のコンゲーム小説で草分けとなったのは、高木彬光が社会派推理小説作家として認められる出世作となった作品「白昼の死角」だそうです。かなり以前に読んだ記憶はありますが、内容はすっかり忘れてしまいました。
今回も「言葉」で苦しめられるかも、と思いながら読み始めたのですが、杞憂に終わりました。
長編なのですが、とても読みやすい作品。
作品の内容は、かつてマダムシルクと呼ばれた詐欺師から、3つ(浮世絵、洋画、仏像)の美術品を奪うことを持ちかけられた(まほ)と(広介)たちの頭脳戦…。時代は、昭和初期。当時の時代背景や風俗をうまく織り込みながらストーリーが展開していきます。
詐欺という犯罪を扱った作品ながら、「被害者」が鼻持ちならぬ金満家であること、実質的な「被害」にはあっていないことなどから、痛快感さえ覚える作品でした。
赤城毅には失礼ながら、古本屋で210円にて購入したことを後悔しないぐらいの作品ではありました。
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