「岡安家の犬」「静かな木」「偉丈夫」の3つの短篇が収められています。どの作品もまさに、短篇。「偉丈夫」にいたっては、13ページ。この作品は藤沢周平の最晩年の作と言われています。
この「静かな木」が出版されたのは、1998年。藤沢周平が亡くなった1年後に出版されたことになります。「遺作短編集」とも言えるものです。
「岡安家の犬」は、アカという名前の犬を大切に育てている岡安家の当主、岡安甚之丞が道場仲間に誘われて犬鍋を食べることとなります。食べた後に親友で、妹・八寿の許婚である野地金之助に「いま喰ったのは、貴様の家のアカだぞ」と言われ、激怒した甚之丞が金之助に「貴様とのまじわりはこれまで…八寿との縁談もなかったものにする…」。このあと金之助は…(ここからが藤沢周平の温もりが感じられるのですが、紹介はここまで)
「静かな木」は私が一番気に入った作品です。5年前に隠居し、2年後に還暦を迎える布施孫左衛門。福泉寺の欅(あらかた葉を落とし、幹も細かな枝 もすがすがしい裸)を見て、「あのような最期を迎えられればいい」と思っていた孫左衛門が「生きていれば、よいこともある」と変わっていく過程を描いた作品。(果たし合いを覚悟する息子を案じ、結果、藩の不正を暴き…)
「偉丈夫」は、見かけは偉丈夫なのに、「小心者」である男が主人公。
どの作品も人間味あふれた逸品です。このごろ連続していい作品に巡り会え、気分のいいワタクシであります。
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藤澤周平、山本周五郎、私も好きな世界です。縁がありとても
返信削除かわいがってくださったおばさま(旧制女学校の「清水谷」OGの方だったので、こどもの先輩にあたります。奇しくも、ご命日がうちの子の誕生日。N女史、あなたの後輩はとても元気に学校に通っていますよ。明日は、文化祭。ミュージックショーをするとのこと、はりきっています。)が、「ラジオ深夜便」の松平
定知さん朗読の「海鳴り」を毎回とても楽しみにされていました。藤澤氏のお名前を拝見したことにより、N女史との思い出に
しばし心を寄せられたことに感謝です。
pikkuです。
返信削除読んで良かったと思える本に出会うと嬉しくなりますねえ。
反対に損したと思う本もありますよね。
まあ、この頃の私は片手間で読んでるので軽いのばかりですけどねえ。
本を我慢して読むことはなくなりました。
我慢して読んでもいいなあと思える本はないですからねえ。
プリンおばちゃんさんへ
返信削除私の借りた本を読み終えてしまい、チカコが借りた本の中から一番薄い本を選ぶと、偶然この本でした。
1時間ぐらいで読め、おまけに内容に満足。得した気分になりました。
亡くなられた「おばさま」の思い出の作家とは…。長編の「朗読」を聞く楽しみ、分かるような気がします…
pikkuさんへ
返信削除この本は「我慢」がまったくいらない本でした。もしまだお読みでなかったら、お薦めします。
長編は、前半で我慢を強いられ、後半で俄然おもしろくなり…というパターンだといいのですが、そうでない本に巡り会うと「時間を返せ」と言いたくなってしまいますね。