2011年7月4日月曜日

ごみを喰う男

中村敦夫の「ごみを喰う男」(徳間書店)を読みました。

6月18日のブログで紹介した「暴風地帯」は、作者の言葉によれば禅僧・法舟と寺男・三休が活躍する「環境ミステリー」第2弾でしたが、この本はその第1弾。

「木枯らし紋次郎」で名をはせた中村敦夫が2007年1月の自身のブログで、こう紹介しています。
作家としては、13年ぶりに6作目の小説「ごみを喰う男」(徳間書店)を発表します。ごみ問題をテーマに殺人事件が起きるというミステリーです。謎を解く探偵が、野鳥観察が趣味の禅僧というユニークな設定です。

昨日、読みかけて途中で読むことを放棄したつまらない本の直後に読んだせいなのか、とても読み応えのある本だと感じました。

巨大な利権構造を生んでいる日本の「ごみ問題」をあつかうミステリーなのですが、作者の思い入れが強すぎることが、ミステリーとしての面白さを半減させているようにも感じました。「暴風地帯」もそうだったのですが、筋があまりに巧妙すぎ、登場人物の描写も手抜き気味。「偶然」がなければ解決しない筋立てが気になります(そもそもミステリーってそういうものですが…)。

でも、一気に読ませる面白さがあり、「ごみ問題」について考えさせられてしまう圧倒感があります。「環境ミステリー」を自称することに違和感は感じません。

作者は「あとがき」でこう警告を発しています。
工業的大量生産は、有害化学物質の乱用を是認し、大気、水、土壌の汚染を促進している。=略=大量破壊兵器のとめどない開発競争、そして終わりなき戦争へと突き進んでいる。=略=限度を超えた暴挙には、必ず報いがあるだろう。

昨日の不快感を忘れさせてくれる小説でした。時間に余裕のある方にはお薦めします…。
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