2011年2月21日月曜日

蒲生邸事件

もうすぐ2月26日、という理由で読んだわけではありませんが、2・26事件をあつかった宮部みゆきの「蒲生邸事件」(毎日新聞社)を昨日読み終えました。

読み応えのある「長編」ですが、「孤宿の人」を読み終えたときの充実感、さわやかな読後感を味わうことはできませんでした。

主人公の孝史は、予備校受験のために元陸軍大将蒲生憲之邸跡に建てられたホテルに宿泊していました。そのホテルが火事になり、死を覚悟しなければならない状況下、同じホテルに泊まっていた平田という男性に助けられ、「タイムトリップ」して2・26事件前夜、雪が降り積もる蒲生邸に時間旅行したという設定です。


蒲生邸の使用人、ふきに恋心を抱いてしまう孝史ですが、「現代」に戻った彼はそのふきと手紙で対面することになります。もし再会できていたとしても、ふきはすでに老女。ふきが書いた手紙の文面の切ない表現は、さすがに宮部みゆきだと感じさせてくれました。


日本SF大賞を受賞し、テレビやラジオでドラマ化もされたようですが、「タイムトリップ」という超能力を持った二人の人物を対比して描いている作品に感情移入はできませんし、主人公の孝史があまりに若すぎたり、2・26事件を深く掘り下げているわけでもないし…。

少しだけ不満が残る作品でした。でも、大丈夫。これから「タイムトリップ」して2日前に戻り、違う本を読み始めマス…??
ブログランキング・にほんブログ村へ

0 件のコメント:

コメントを投稿