2011年8月30日火曜日

赤めだか

立川談春の「赤めだか」(扶桑社)を読みました。

落語会の「異端児」、立川談志に高校を中退して弟子入り。勘当同然に家を飛び出し、新聞配達で生計を立てながら修行に励んだ立川談春のエッセイ。

インタビューに答えて彼はこの本についてこう述べています。
むしろ僕は、談春ファンや談志ファンが手に取らない可能性のあるタイトルをつけたかった。それは、ファン以外に、僕という人間に興味を持つ人がいるはずだという自信ではありません。ただ、読んでもらえれば、「ヘンだな、この談志っていうのは。でも、いいこと言うな」と感じてもらえるだろうと。

 僕が前座修行中に何を感じ、どう動いたかを書きましたが、それらすべての出発点は談志が発した何らかの言葉です。そこには興味を持ってもらえると思っていました。

 だって、絶対みんな人から影響を受けたいはずですもん。もっと言えば、上司には惚れたいでしょうし、抜きたいと思える上司に出会いたいでしょうし…。昔はどの世界にも、誰かにほれ込み、この人について行こうといった師弟関係に似た人間関係があったわけでしょ。最近は「会社の人間関係が希薄になって…」なんて声を聞きますが、そんなに変わんないと思うんですよ、人間とか、日本人とかって。

 

講談社エッセイ賞を受賞したほどの作品なのですが、エッセイというより「落語」を聞くように愉快な話がてんこ盛りの「小説」といっていいような作品でした。

厳しい修行に耐えながら前座、二つ目、真打ちへと昇進するまでを描いているのですが、最後の「特別編」では涙を誘われるような逸話が紹介され、笑いながら読んできたそれまでのエッセイが最後には感動的に幕を閉じ、読んでよかった!もっと続きを読みたい!という気持ちにさせられ、惜しみながら本を閉じました。

著者が言うように、落語なんてまったく興味がない、という方でも楽しく、味わい深く読める作品です。文句なしにお薦めできます。
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2 件のコメント:

  1. プリンのおばちゃん2011年8月30日 21:25

    めっちゃ、おもしろそうですね。次回図書館利用日に、予約を入れます。談春さんは、今、最も注目をされている落語家さんのおひとりですね。関西に来られるときも、その人気ぶりがチラシを
    手に取るだけで伝わってきます。そのうち「東西名人会」系にも
    お出になるでしょうし、ぜひ、機会があれば「ナマ」で見聴き
    してみたい方です。ところで、BON先生の弟子サン、の
    「くま女房」サン、落語から名前を採ったそうですよ、どの
    ネタかわかられますか。お詳しいヒトになると、くま女房サンが
    好きな落語家さんもわかりはるようです。

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  2. プリンのおばちゃんさんへ

    くま女房さんがそんなに落語をお好きだとは…

    私は積極的に寄席へ行って聞くような愛好家ではないのですが、そんな私でもこの本は面白かったです。

    ちなみに、談春の落語も聞いたことアリマセン…

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