2011年8月29日月曜日

奇縁まんだら(続)

瀬戸内寂聴の「奇縁まんだら(続)」(日本経済新聞出版社)を読みました。

8月12日にこのブログで「奇縁まんだら」を紹介しましたが、その続編です。もう1冊、「続の二」も出版されているようです。図書館にあれば借りようと思っていましたが「続」しか見つからず、あえて「予約」はしませんでした。もし開架されていれば借りようとは思っています。

この「続」には菊田一夫、開高健、城夏子、柴田錬三郎、草野心平、湯浅芳子、円地文子、久保田万太郎、木山捷平、江國滋、黒岩重吾、有吉佐和子、武田泰淳、高見順、藤原義江、福田恆存、中上健次、淡谷のり子、野間宏、フランソワーズ・サガン、森茉莉、萩原葉子、永井龍男、鈴木真砂、大庭みな子、島尾敏雄、井上光晴、小田仁二郎と全部で28人の作家や歌手などが紹介されています。

今回のエッセイにも寂聴らしい「シモネタ」がたびたび登場するのですが、そんなことが気にならないぐらい楽しく読み終えることができました。

特に、92歳で亡くなった「城夏子」の項では寂聴の優しさを強く感じました。城夏子は82歳のときに「いまが一番好き。いまが一番きれい」という題のエッセイを書いたのですが、「あの時は愉しかった、あの人はやさしかった…なんてしつこく昔をなつかしみはしない。とにかくいま、現在が一番好きなのである。」という言葉をすべて肯定する寂聴。そして、佐藤春夫の語った「美しく年を取ること」という言葉に感銘を受けて城夏子が信条としていたことを紹介しています。自分自身もそうありたいと多くの方が願っておられることですが…。

「淡谷のり子」の項では、寂聴らしさが最も発揮されています。
淡谷さんの考え方と私の考え方、生き方があまりにも似ていたからだ。男に対する恋の仕方も、男の捨て方も。=略=男に金銭的に頼って、妻子のある男との関係を保つ女を2号と呼び妾と呼んでいた時代である。=略=美しいものに憧れる、それは自分が美しく生まれていないという自覚があるからだという点も同じだった。

「続」にも横尾忠則の50数点の絵が花を添えています。その絵も楽しみの一つです。
ブログ村ランキングに参加しています。応援クリックをお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へ

2 件のコメント:

  1. プリンのおばちゃん2011年8月29日 21:14

    前回の寂聴さんの紹介の時も気になっていた一冊です。でも、きくまささまの紹介のなさり方が、ちょっと、こちらのキモチに足踏みをさせてしまうような感じだったので、どうかな。と。
    男女のこと、上手に味わい深く表現していく、ということはとても微妙で難しいですよね。読み手の方の「スタンダード」もありますし。でも、本書も魅力的なので、「読みたい本メモ」に記入ですね。でも、今は、音楽関係の本であれこれ読みたいものがあり、優先順位として3位、4位といった感じでしょうか。

    返信削除
  2. プリンのおばちゃんさんへ

    文壇や芸能界にその名を刻んだ方々との「奇縁」を寂聴節?で語る貴重なシリーズであることは間違いありません。
    三流週刊誌を読んでいる気分になる表現があり、その部分は私の好みには合いません。
    でも、「おもしろい」本。一読の価値はあります。

    返信削除