失礼ながら、まったくその名を聞いたこともない作者の作品。それもそのはず。過去にこの本を含めて2冊の出版物があるだけ(?)のようです。元東京地裁の裁判官で、定年退職した17年後に出版されたミステリー本です。
「わさび会」というのは、長野県安曇野の中学時代の同級生7人の「会」。ただ「同級生」というだけで、それ以上のつながりはなく、ときどき会って情報交換し、いっしょに飲むだけの気の合う仲間。
メンバーは医師、看護師、大学講師、不動産自営業、スポーツインストラクター、弁護士、警察官。
「レビュー」によれば、「1987年4月、長野県梓川で若い女性の死体が発見された。その2年後、悪辣な地上げで急成長を遂げた城陽商事社長の秋田が自宅マンションの敷地内で何者かに殺される。一見なんの脈絡もない2つの事件がつながるとき、現代日本を蝕む負の方程式が鮮やかに立ち現れる。安曇野の中学時代の同級生からなる7人組が、それぞれの特技と職業を生かし、難事件解決に挑む」という内容。
「炎暑の夏を狙え」と「ある護衛」という2つの中編から成っています。どちらも「わさび会」のメンバーの力で事件の真相が明らかにされます。「炎暑の夏を狙え」では、警察官の加山が係長の小島から捜査方針の違いで左遷されながらもひそかに「わさび会」の協力を得て事件の真相を明らかにしていきます。
最後に残ったのが「凶器は何か」という点。これから読まれる方のためにその「凶器」を書かないでおきますが、読んでいる途中から予想できるおそまつなモノ。それまでの展開がおもしろかっただけに「わさび会」のメンバーが最後まで分からないということに不自然さを感じてしまいました。
多くの殺人事件が絡み合うのですが、「地上げ屋」の殺人事件だけに焦点を絞ったことは正解だったと思います。手に入れにくい作品ですが、読んで損はない作品だとは感じました。
いつものお願いです。応援クリックをお願いします。
↓
0 件のコメント:
コメントを投稿