2011年6月27日月曜日

長い長い殺人事件

宮部みゆきの「長い長い殺人事件」(光文社文庫)を読みました。

この作品は、宮部みゆきの初期作品。図書館で借りた本を読み終えたときの予備として買っておいた文庫本です。宮部みゆきの長編小説の第2作目だそうで、計算すると彼女が30歳前後で書いたことになるのですが、そんな若いときの作品とは思えない「面白さ」のある作品でした。

この小説の特徴は、すべて「財布が語る」こと。財布の持ち主は刑事、ゆすり屋、少年、探偵、目撃者、死者、旧友、証人、部下、犯人。それぞれの財布が目撃したこと、聞いたことを語っていき、エピローグへと導きます。

財布の持ち主に個性があるように、「財布」にも個性があります。例えばある財布は自身を「私」と呼び、持ち主を「あるじ」と呼び、別の財布は「あたし」と「彼女」、「僕」と「雅樹くん」、「俺」と「佳夫」、「わたし」と「恵梨子さん」……。


4つの殺人事件が起きます。そのすべてにある二人の人物が関わっているという「疑惑」がマスコミを賑わすことになります。世間でも日常会話に頻繁に登場するようになり、疑惑をかけられた二人の人物はマスコミの寵児としてもてはやされるようになっていきますが、思わぬことからその犯行の真実が明らかに‥、あとはお読み下さい。これ以上書くと読む楽しみを奪いかねませんので‥。


唯一の「不満」は巻末の「解説」。宮部みゆきの紹介で耳にたこができるぐらい聞かされた(読まされた)ことをまた書いてあるのです。『火車』で直木賞をとれなかったことに関しての選考委員への批判。うんざりするぐらいその種の批判を読みました。また、この本の「解説」で読まされるとは。
お願いです、応援クリックをぜひ!
にほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へ

2 件のコメント:

  1. いつもながら感心することは、本の紹介。簡潔で、読書意欲がそそられます。それでいて切るべきところはグサッと切り捨てています。今回の小説、すべて「財布が語る」とは面白いプロットですね。唯一の不満が巻末の解説との由。今後彼女の作品は解説ヌキで読まねばいけない? ただしkikuさん程多読な人ばかりとは限らないわけで、彼女も「これだけは言っておきたい」と思っているのでしょう。
    それはそうと、活字で読んでも耳にタコができるのでしょうか、なんてヤボなことは言いますまい。
    話は変わりますが、今日kikuさん達がお骨折りいただいている吉田先生の77コンサートのお知らせが我が家にも届きました。いろいろとお世話様です。是非聞きに行きたいのですが、2つ3つほど他の行事と重なっており、当日はどうなるかわからないのがツライところです。

    返信削除
  2. MR.BONさんへ

    いつもコメントをいただきありがとうございます。

    なぜかまた「ズパム」として処理されてしまっていました。アヤシゲナ投稿、とコンピューターが判断しているのです(コンピューターの気持ちもワカラナイデハアリマセン‥)。

    運営しているGoogleのバグだとは思うのですが、原因がよく分かりません。

    77コンサートのことですが、行事が重ならないことを願うばかりです。

    返信削除