2011年6月22日水曜日

晴れた日には鏡をわすれて

五木寛之の「晴れた日には鏡をわすれて」(実業之日本社)を読みました。

この本は、1995年に刊行された同名書に筆者が加筆修正して、今春刊行された改訂新版です。

改訂新版への「あとがき」で作者は次のように書いています。

『晴れた日には鏡をわすれて』は、人生の不条理に対して、みずからの肉体を賭けて挑戦しようとする一人の娘の物語である。=略=人間の値打ちは、どこにあるのか。寛容な心か。優しさか。それとも勇気か。=略=美しい人と、そうでない人との差は、なにか。それは必ずしも当人の精神的豊かさとは関係がない。=略=

「玉磨かざれば光なし」とは、よく聞かされる言葉である。しかし、この格言には、残酷な真理が隠されている。それは、もともと「玉」であるからこそ磨けば光るのであって、「石」を磨いても光らない、という事実である。=略=

主人公は、隠岐の寂しい旅館で働くアカネ。「醜い容貌」のため、母親からも学校の同級生からも、見知らぬ通りすがりの人からも疎まれ、「差別」され続けたアカネは高校を中退し、家も飛び出し、人の目を避けて隠岐に暮らす生活。

そのアカネが、自殺しようと偶然やってきたクサカゲ・マコトという客によって、大きく運命を変えられることになります。自殺したように見せかけ、全くの別人になりすまし、ロシアに渡って歩き方、姿勢、語学、教養…等々、一年に及ぶ訓練と大手術により、すべての人の視線を集める美貌と教養、語学力などを手に入れます。

その後の彼女の行動と心理は…読んでのお楽しみ…

五木寛之は読みやすい文体・表現を使う作家なので、すらすらと読むことができました。しかし、想定される読者層はおそらく青年? 私には心に響くものはあまりありませんでした。思春期を抜け出す頃の悩み多き世代にはお薦めの本ではあります。このブログを読んでいただいている方にはお薦めはできません…?
いつもありがとうございます。今日も応援クリックをお願いします。
にほんブログ村 本ブログへ

2 件のコメント:

  1. ほんの少しだけ、ココロ惹かれる本ですね。
    惹かれるポイントは、作者です。
    ラジオ深夜便の人気コーナー「わが人生の歌語り」の
    五木寛之さんだからです。また、中学生の時
    「青春の門」を読み、(思えば、これが初めての大人本でした。)40代で深夜便のコーナーで作者に再会し。。。です。
    きくまささまの紹介される本は、あれもこれも読みたい、と
    思いながら、ここのところ小説のジャンルより、新書のジャンルの方に行ってしまっているので。
    でも、気になる本は、作者、タイトルを控え、出版社を
    検索にかけて、「読みたい本」のリストアップの手帳に
    書き込んでいるのですよ。

    返信削除
  2. くま女房さんへ

    ありがとうございます。
    少しでも参考になればうれしいです。

    返信削除