2011年6月9日木曜日

大化改新殺人事件

高木均の「大化改新殺人事件」(文芸社)を読みました。

この小説の舞台となった場所が私の地元であることが、図書館で借りた唯一の理由です。パラパラと本をめくってみて、現代を扱った推理小説であることは分かっていました。

「序章」は、蘇我入鹿が飛鳥板蓋宮で暗殺される場面。そこから現代にとび、主人公?である吉備利敬(物語の最後で吉備真備の子孫だとわかるのですが…)が生まれ育った光蓮寺の地下蔵で「死体」を発見するところから物語が展開していきます。

利敬は蘇我家の秘宝を探す鍵が石舞台にあると推測し、その石舞台で蘇我入鹿の玄孫を名乗る明日香娘(あすかのいらつめ)と対面することとなります。明日香娘は中国(唐)から遣唐船で日本に来るときに海難事故に遭い、宇宙人らしきものに助けられ現代にいたるまでカプセルの中で眠り続け、巡視船“剣”によって発見され…。その後、さまざまな学者が考証に参加し、本物であると主張する学者も現れます。

SF小説だとはじめは思っていたのですが、実際は巧妙に殺人犯が仕組んだ大がかりなトリックだったことが読み進めるうちに明らかになります。

入鹿が遺したといわれる宝物をめぐっての醜い争いや複雑な人間関係が明らかにされる前半部分はオモシロク読むことができました。しかし、後半になってさまざまなトリックを明かす手法に無理があり、またそのトリック自体が荒唐無稽なもの。だんだん読み進めるのがつらくなる小説でした。

無理矢理こじつけた事件の動機、ありえない人間関係、偶然に任せる物語の展開…。ウンザリさせられました。自殺した「鍵」を握る人物の遺書や手紙で真実を明らかにする手法は多くの推理小説でとられていますが、この物語には無理がありすぎます。筋に無理がありすぎ、あまりに不自然な遺書や手紙でしか「つじつま合わせ」ができなかったのだと思います。

前半部分だけでも楽しむことができたことは救いです。作者には申し訳ないのですがお薦めには値しない推理小説でした。
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