2011年6月5日日曜日

枯骨の恋

岡部えつの「枯骨の恋」(メディアファクトリー)を読みました。

「枯骨の恋」には表題作の他に「親指地蔵」「翼を下さい」「GMS」「棘の道」「アブレバチ」「メモリイ」と、いずれも「怪談」とよばれる7つの短篇が収録されています。

表題作が第3回『幽』怪談文学賞短篇部門大賞受賞作品だという理由だけで借りた本です。

作者が自身のブログに次のように作品紹介をされています。

【7つの物語にこめた思い】
 どの物語にも、30代から40代の女性たちが出てきます。いわゆる「アラフォー」というくくりに入る女たちですが、世間で認識されている<経済的余裕のある自立した女>とは、みんなほど遠い。しかし、わたしにとってはこちらのほうが断然リアル。そして、魅力的です。
この魅力的な女たちをつきつめて書いていたら、こんな7つの物語が生まれました。
 若さという魔法を失い、しかし女という性は円熟期を迎えた女たち。
きらびやかなスポットの当たる舞台からは外れた場末で溺れかけながら、それでも素直に貪欲に、誇りを捨てずにしぶとく泳ぎ続ける彼女たちの姿を、わたしもまた同じ水の中で溺れかけ、もがきながら書きました。〈略〉本を手にとってくださる女性たちの中にも、きっと真千子や由実がいるでしょう。読みながら、そんな自分の内なる女たちをぞわぞわさせていただけたら、本望です。


表題作や他のいくつかの作品は私の好みではありません。性的描写や女性の心理描写が肌に合わないだけなのですが。作家が女性ということもありもう少しオサエタ描写を期待するのです…。

受賞作よりも「アブレバチ」の方が優れた作品だと思います。職場でのパワハラによって自ら命を絶ったと思われていた滝江の元同僚である千穂が意外な事実を知り、思いもよらぬ相手に命を奪われる結果となるストーリーに恐怖を感じました。ストーリーの展開に意外性があり、しかも何とも言えない「怖さ」を感じる作品。これだけはお薦めできます。
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