2011年6月3日金曜日

ピロティ

佐伯一麦の「ピロティ」(集英社)を読みました。

この小説は、すべて山根という人物が語る言葉だけで完結する珍しい手法をとっています。

総戸数42戸の分譲マンションの管理人である山根が膝を痛めて療養が必要となり、その後継人候補である渡部という人物に第1回目の引き継ぎをする一日を描いています。

山根が語る言葉のみで、12月のある日の8時半ごろから17時半ごろまでの「引き継ぎ」の様子や出入り業者や住人との関係などを見事に描いています。

庭掃除、水道検針、巡回、来訪者との応対、蛍光灯の交換などの管理人業務やマンションに住む人々の生活の一端を山根の「語り」だけで読ませる手法に戸惑ったのは最初の2、3ページだけ。中編小説ですから2時間もかからず読み終えることができました。

私自身がマンション生活をしたことがないものですから、さまざまなマンション住人との関わりを読んでナルホドとは思わせる作品でした。が、それだけです。作者には申し訳ないのですが、お薦めには値しない作品と言わざるを得ません。実際にそういう仕事に就こうとする方には参考になるのかなあ、という程度。(図書館で借りて読むべき本ですネ…)

作者が「あとがき」で紹介しているのですが、この作品を書くときに参考資料としたホームページ(マンション管理人は超~つらいよを読む方がもっとオモシロイのです。この小説に描かれていない多くの驚かされる、そして笑えるエピソードが満載。管理人の業務の大変さがスゴク分かります。時間のある方は一度のぞいてみられては?
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