2011年5月19日木曜日

本日、サービスデー

朱川湊人の「本日、サービスデー」(光文社)を読みました。

実は、髙村薫のある小説を読んでいる途中なのです。(上)を読み終え、(下)を続けて読むのが当たり前なのですが、高村薫独特の(よく言えば重厚で表現力豊かな)ネチッコイ?まわりくどい?語らせすぎ?の文体に疲れてしまったのです。

前に朱川湊人のすべてに幽霊が登場する「かたみ歌」という短編集を読み、彼の作品なら小休止できると思い、同じく短編集である「本日、サービスデー」を先に読もうと思ったのです。

高村薫とは対極にある読みやすい短編集です。「かたみ歌」は私ぐらいの世代が読むのに適した作品でしたが、今回の作品は若い人向け? 短時間で読めてしまう「お気軽」な作品。

5つの短篇が収録されています。表題の「本日、サービスデー」は、主人公のサラリーマンが悪魔を名乗る「女」から「今日」が「一生に一度の」「どんな願い事でも叶う」「サービスデー」だと聞かされます。どちらかといえば小心で欲のない主人公が、この「サービス」によって退職に追い込まれかけている会社に大きな利益をもたらす奇跡的な契約を勝ちとるのですが、一方で意図せぬ570余人の命を奪う飛行機事故を起こしてしまいます。どうしてもその結果を覆したい主人公は…、あとは読んでのお楽しみ…。

「東京しあわせクラブ」は殺人が絡む作品。それ以外の「あおぞら怪談」「気合入門」「蒼い岸辺にて」は、小学生でも読むことのできる内容、というより読ませてあげたい作品です。

あまりに「軽い」作品。「かたみ歌」は共感を持って読むことのできたお薦め品ですが、この作品はちょっといただけません。高村薫の(下)を読み始めようか、もう少し他の作品を読んでからにしようか、ただ今考え中。
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