2011年5月12日木曜日

秋の牢獄

恒川光太郎の「秋の牢獄」(角川ホラー文庫)を読みました。

こういうホラー・奇想的な小説は好みではありませんでした。チョット口直しのつもりで昨日、買ってしまいました。結論から書くと、やはり買わなければヨカッタ…。

3つの短篇、「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」が収められています。どれもまさに短篇ですので、あっと言う間に読み終えてしまいました。

時間つぶしにはうってつけの本ですが、読後感がスッキリせず、時間の浪費を悔いるばかり。3つ目の「幻は夜に成長する」だけはお薦めしてもいいかなあという作品です。

主人公のリオに「祖母」が不思議な力を見せます。何もないところから花を咲かせたり、腰痛の男性の痛みをとったり、石を蛙にしたり…、いわゆる幻術づかい。その「祖母」の力を引き継いだリオが金儲けを企てる者によって幽閉され、洗脳教育と薬漬けによって幻術を利用されます。

そのリオが更なる幻術の力を得て、幽閉生活から抜け出すところで話が終わります(スミマセン、ラストシーンを書いてしまいました)。この短篇には現実のこの世の中の矛盾が反映され、3つの作品の中では最も話の展開に人間くささがあり、チョッピリ考えさせられる作品でもありました。

あとの作品は、同じ一日を繰り返すようになった(どこにいても、何をしても目覚めれば同じ場所で同じ服を着ている)主人公たちの話と、ある古民家に入り込んだ主人公がその家から出ることができなくなり家とともに日本全国を転々と移動する話。奇想天外な発想の作品ですが、奥行きのない軽薄(といったら怒られる?)な作品。でも、話の展開は楽しめます。

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