2011年4月25日月曜日

下の公園で寝ています

立松和平の「下の公園で寝ています」(東京書籍)を読みました。

立松和平は一時期テレビによく顔を出し、特に久米宏の「ニュースステーション」という報道番組のリポーターとして、栃木訛りの独特の語り口で人気を博した作家です。「盗作」事件をきっかけにテレビから姿を消した後も、2度目の「盗作」騒ぎがありました。


この本は本人の「あとがき」によれば、「私のまわりの人たちの生と死とを、死のほうに傾きつつ描いた作品集である」と紹介しています。表題の「下の公園で寝ています」をはじめ十の随筆や短編小説が収められています。

同じく「あとがき」で、「よりよく死ねるということは、よりよく生きることにほかならない。(略)つまらない生を送ってきて、死だけが高貴だということなどありえない。」と語る立松和平。彼自身、62歳という若さで2年前に亡くなっています。

最も印象に残ったのは表題の随筆。「たこ八郎」という芸名を持つ人物の思い出を多くのエピソードを交え、出会いから海での死までをあの独特の語り口そのままで描いています。


元全日本フライ級チャンピオン斎藤清作時代、殴られても殴られても前に出る「ブルファイター」だったことがたたり、パンチドランカーになってしまいます。その時代からずっと酒浸りの生活をおくった斎藤清作が「たこ八郎」となってテレビに出るようになっても相変わらずの酒浸り生活。そして、海での溺死。立松和平は人工呼吸を自身がこころみるのですが…。

「下の公園で寝ています」は、宮沢賢治の「下ノ畑ニ居リマス」からとったもの。洒落た題ですね。

どの作品も立松和平らしく、人間の優しさと生きる厳しさを温かいまなざしで描いています。
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2 件のコメント:

  1. ニトベンです。(^o^)/
    昨日は疲れがドッと出たのか、夕方から今朝までぐっすり寝ていました。
    まだ食事もしてませんのでおなかが空いてきました。(爆)

    立松和平さんは好きな作家さんでした。
    久米宏の番組での語り口は独特で大好きでした。(^o^)/
    タコの八ちゃんも好きだったなあ。
    パンチドランカーになりながらもテレビでお笑いを巻き上げてたもんね。(^o^)/

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  2. ニトベンさんへ

    昔、よくニュースステーションを見ていました。
    立松和平のホッコリする語り口が懐かしいデス。

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