本岡 類の「愛の挨拶」(新潮社)を読みました。
素晴らしい小説でした。久しぶりに目頭が熱くなる小説に巡り会えました。
最後の場面で、亡き妻(元プロのヴァイオリニスト)が遺した「愛の挨拶」のテープにあわせて、主人公の仁科がピアノを弾く場面は感動的でした。素晴らしい終わり方に心を打たれ、しばらく動けなかったほどです。
作者の本岡 類は本来ミステリィ作家なのですが、この小説はそうではありません。まさに本の作者紹介に書いてあるとおり、「大人の小説」です。
音楽や夫婦愛だけをテーマにした作品ではなく、「難民問題」もからめながら物語が進んでいきます。
大人のピアノ教室にそれぞれの事情を抱えながら通う男女4人が、あることがきっかけで難民認定の裁判に関わっていきます。そのことが、4人のこれまでの生き方を変え、ピアノに対する姿勢も変えていきます。
主人公の仁科は、オランダへの旅行中に急死した妻への「不倫」疑惑に悩まされながら、その真相を明らかにするため、さまざまな行動を起こします。最後にはそんな心配が杞憂に終わるのですが…。
生前に妻と交わした約束がありました。「エルガーの『愛の挨拶』。私(妻)のヴァイオリンと最初に合奏する」ということ。そのために50代半ばの仁科がピアノ教室に通うこととなったのです。習い始めて間もなく妻の訃報。その後の荒れた生活。人生設計が破綻し、一人暮らしが始まります。
これ以上書くと、読む楽しみを奪いかねませんので…。
平易な文章でとても読みやすく、素晴らしい読後感を味わえる作品。音楽に関心のある方だけでなく、まったく興味のない方にもお薦めの本です。
若い頃までは活字が大好きでしたが、最近はパソコンにかかりっきりです。(笑)
返信削除老眼が入り始めた40歳頃から、読まなくなりました。
眼鏡の苦労を早い時期から知る事になっちゃいましたよ。
最近は車の運転時やラジコン機を飛ばす時は軽めの老眼鏡をかけてます。
次の免許更新では、間違いなく眼鏡でしょうね。(爆)
村の往復ポッチンです。(^o^)/
ニトベンさんへ
返信削除さっそくのコメント、ありがとうございます。
今、好きなアコーディオンが弾けないので、もっぱら余った時間は読書に費やしています。
もう何年かすれば読書が苦痛になるかもしれません(笑)。
読める時に読んでおこうといったところです。
ブログ村の「アラ還」、よく見れば1位と2位はニトベンさんですね。ポチっとして気がつきました。ビックリ。