2011年4月4日月曜日

駅までの道をおしえて

伊集院静の「駅までの道をおしえて」(講談社)を読みました。

表題の「駅までの道をおしえて」と「シカーダの夏」、「バラの木」など8つの短編が収められています。

表題作は、愛犬ルーを失ったサヤカという9歳の少女と、ずいぶん昔に幼い息子を亡くした「何だか嫌な感じのジイさん」フセ老人との心の交流を描いた作品。

二人に共通するのは「死」をどうしても受け入れることができないこと。フセ老人の死をきっかけに、サヤカが新たに前に一歩踏み出そうとする姿を描く、心温まる作品です。

表題作以外は「野球」に関係する作品。印象に残った作品は「2ポンドの贈り物」。

「89年、日本で最初の生体部分肝臓移植が施行されて以来、脳死肝臓移植を含め、03年までに約2500人が治療を受け、肝臓移植は重症肝臓病の治療として確立されようとしている」、「手術に要する時間はドナーが6~7時間、レシピエントが10~12時間と言われるが、患者の状況によっては30時間を超えるものもある」、そういう手術に挑む夫婦の物語。夫婦の絆の深さが生まれる源を再発見させられました。

小説と関係ないのですが、ネットで長嶋茂雄が伊集院静の作品に寄せている言葉を見つけました。それを紹介します。

「伊集院さんの作品が語る『「野球』の魅力に私は感動しています。プレーする人も、それを観る人も、ともにその喜びや感動を共有できる『野球』のすばらしさを、伊集院さんが作品を通して後々まで伝える伝道師となってください。――(長嶋茂雄)…私としては少しピントがずれたコメントだとは思うのですが、まあ長嶋茂雄らしいコメントではあります
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