2011年3月28日月曜日

サークル

北島行徳の「サークル」(文藝春秋)を読みました。

以前にご紹介した天童荒太の「あふれた愛」は、「精神疾患」に陥った人々の「困難を乗り越えるのにそっと後押しをしてくれる」作品でした。


「サークル」は作者が自身のブログで、「精神病を抱えた人と付き合う中で、感じできたことをテーマにしてみました。もちろん、ミステリーやラブストーリーとしても楽しんでもらえると思います。」と言うように、「あふれた愛」とテーマはよく似ているのですが、今の「精神医療」政策や現場の実態を告発する内容も含んでいる作品でした。


小説の「サークル」とは、「東京都T市の一部を塀やフェンスで円形に囲み、妄想型の精神病患者と医療関係者だけの町」…のことです。「閉鎖病棟と大きく違っているのは、病室ではなく町で生活していると患者に思い込ませている点」…。

この「サークル」内で傷害事件や殺人事件が起こり…。話の展開を楽しむ気分にはなれない作品でした。テーマが重いことと展開の仕方が意外すぎること、そのため頭を混乱させられ思考停止状態になること、しばし。


読後感がすっきりせず、午後に少し長い散歩に出かけました。気分が落ち着き、やっと今、このブログを書ける気分になれました。

「あふれた愛」の方が、「精神を病む」人、そして周りの人たちに対して、そっと後押しをしてくれる作品としてお薦めできます。

しかし、ラストシーンで語られる言葉には少し共感を覚えました。「…あの人の輪の中にいれば、救われることもあるはずだ。結局、人間関係で傷ついた心は、人間関係でしか癒すことができない」。「…閉じた円は開かねばならない」。
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2 件のコメント:

  1. 突然のコメント申し訳ありません。
    先日、なにげにパソコンをみてると、菊政先生のブログを奇跡的に発見し,23年前にお世話になったこと、体育館の屋根にのぼって叱られたこと、小麦粉アレルギーで愛妻弁当を口いっぱいにほおばってた先生、学びの道に終わりはないこと、いろいろ思い出し、本来この様なことを書き込む場所ではないのですが、あわててコメントせていただきました。

    高北を卒業して中学1年で奈良県に引越し現在、大和高田市に嫁と9才、6才、3才の子供達と暮らしてます。(アルルからチャリで5分ぐらい) 橿原のプール、万代、ヨシムラよくみんなで行きますよ‼
    まさかこんなに近くにいらっしゃたとは・・・

    当時と変わらず、文章力が発達しておらず、下手な長文になりそうなのでこのへんで・・・
    体調にはくれぐれもお気をつけて奥様と仲良くおすごしくださいね。
    34年間   お疲れ様でした。
    2年間   ありがとうございました。
                                        水野    和行

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  2. 水野君へ
    コメント、ありがとうございます。
    どういうわけか、投稿していただいた「コメント」が「スパム」として隔離されてしまっていました。
    何度も投稿していただいたようで、申し訳ありませんでした。
    理由は…??分かりません。
    高田市にお住まいとはビックリ。すぐ近くなのでいつでもお会いできそうです。
    下記のアドレスに連絡先をメールして下さい。
    [kiku1234@ares.eonet.ne.jp]
    お待ちしています。

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