2011年2月10日木曜日

青のある断層・松本清張短編全集2

「男たちの晩節」を読んで、清張をまた読みたくなってしまいました。「長編」に比べると「短編」は少ししか読んでいなかったので、図書館で「短編全集」のうち開架されていた3冊を借りました。

今日読んだのは、松本清張短編全集2「青のある断層」(光文社)。

「全集2」には、清張が朝日新聞広告部時代(作家専業となる前)に書かれた短編8つが収められています。

表題となった「青のある断層」は、ある著名な画家が「へたな絵」を描く青年の絵を盗用し、自己流に描き直すことを、一流の画商が仕組むという内容。

「赤いくじ」は、太平洋戦争末期から終戦直後の朝鮮半島南部を舞台とし、戦地からの引き揚げでの軍上層の保身を描いています。清張自身の実体験がいきており、「一兵卒として駐留し敗戦を迎えたときの挿話から思いついた」作品のようです。

他の作品「権妻(ごんさい)」、「きょう示抄」、「酒井の刃傷」、「面貌」、「山師」、「特技」は、いずれも戦国時代から明治初期までの、いわゆる時代小説。

人の為せることとは思えないほど「長編」や「ノンフィクション」を書きまくった時代のほんの少し前の作品集です。清張らしく、「人物」に焦点を当てた粒ぞろいの短編集でした。
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