2011年2月8日火曜日

書物法廷

昨日の「書物迷宮」に続いて、「書物狩人」シリーズの第3弾、赤城毅の「書物法廷」(講談社)を読みました。

例によって、ル・シャスールという呼称を好む主人公が、4つの短編(中編?)に登場し、ゴルゴ13がそうであるように、最後には必ず彼の「勝利」で終わることが分かっているために「ハラハラ感?」のない小説なのが少し残念。そろそろ、意外な結末を用意していただきたいものです。よく言えば、安心して読めるのですが…。


あつかう内容は、今までと同じく、著者が周到に調べ上げた史実を元に組み立てられていますので、読み応えはあります。


第1話「クイナのいない浜辺」は、同時多発テロを計画した爆弾テロリストに「画集」を届けることで計画を断念させる作品。

第2話「銀の川の蜃気楼」は、書き出しがシリーズの中では珍しく、「終身刑」で服役中の主人公の描写から始まり、まさにゴルゴ13ばりの展開。「ネオ・ナチ」をあつかう作品で、シリーズの中では最も楽しめた作品でした。

第3話「奥津城に眠れ」は、エドガー・アラン・ポーの研究をまとめた書籍をめぐって、CIAが暗躍する作品。

第4話「笑うチャーチル」は、イギリスの元首相チャーチルがメモを遺したとされるある本をめぐる偽装工作で、2003年のイラク戦争にイギリスが参戦したことへの非難を避けようとするイギリス情報機関の醜態を描く作品。


講談社に責任があるとは思うのですが、挿し絵がジャマに感じたのは私だけではないと思います。特に、主人公を描いた絵には、興をそがれてしまいました。
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