2011年2月5日土曜日

男たちの晩節

一昨日、橿原神宮の近くを散歩したとき、例によって吸い込まれるように本屋へ入り、松本清張の「男たちの晩節」(角川文庫)を買ってしまいました。


若い頃、松本清張の本を読みあさっていた時期がありました。読み終えた本は全て処分してしまって、家にはもうありません。立ち読みしながら、昔読んだものは入ってナイ!、と思って買ったのですが…。

「人生の晩節をテーマに選び抜いた、粒ぞろいの短編集(裏表紙の紹介文より)」で、7つの短編が載せられています。6つ目までは初めて読んだ短編でしたが、最後の「駅路」を読み始めて、???もしかして読んだことがあるかも…と思い、ネットで調べてみると「駅路」 (新潮文庫)が発売されており、その本を読んだことを思い出しました。でも、今だからこそ、より「わかる」こともあります。同じ作品でも、読む人によって、読む年齢によって、感じることは違ってアタリマエ、と自らを納得させました。


清張が亡くなって10年も経ってしまいました。清張をこえる作家には、まだ出会っていません。歴史小説、推理小説、純文学、ノンフィクション…、いろんなジャンルで「傑作」を遺した清張は、亡くなる前から「巨匠」と呼ばれていた作家です。

この短編集は表題のとおり、人生を終えようとする7人の主人公の7つの「晩年」が描かれています。年齢はさまざま。職種もさまざま。しかし、共通するのは「心の葛藤」とたたかうこと。もちろん、終え方もさまざま。短編集のため、「読み終えた満足感」を味わうことはできませんが、自身を振り返らせてくれる「すぐれもの」であることは確かです。
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