2011年1月7日金曜日

理由

第120回直木賞受賞作、宮部みゆきの「理由」(新潮文庫)の「積ん読」状態がようやく解消されました。


私の悪い癖(複数の本を同時に読み、結局最後まで読まないまま放ったらかして、また最初から読み直す)の犠牲者だった「理由」をやっと読み終えました。


半分ぐらいまで読んでいた本を、また最初から読み直すという、疲れる読み方が直らない自分に腹立たしさを覚えます。読み終えたとき、その作品に裏切られたと感じたときは、なおさらです。


「解説」にも書いてあったのですが、宮部みゆき自身が「記述者は一人ではなくて、あるところはアナウンサーのナレーションだし、あるところは記者が出てくるという、テレビのクルーが一つの事件を検証していくようなつもりで書きました」と述べているように、いわゆるノンフィクションの手法で語られる「章」が多く、新鮮さを覚えました。


途中で、書きすぎと思われるぐらい「競売」についての説明文が登場し、疲労感さえ覚えてしまったのですが、登場させたさまざまな「家族」の生き様や一人ひとりの生いたちの記述には「疲れ」は感じませんでした。

借金問題を抱える家族、進学問題で対立する家族、未婚の母を持つ家族、失踪者の出た家族…、それぞれの家族、人物が抱える問題が「犯罪」の背景として描かれています。

「積ん読」を解消してよかったと思える作品でした。

元「文学少女」、現「文学オバサン」の妻(この表現、前にも書いたような…)に言わせると、宮部みゆきは時代小説「孤宿の人」がエエヨ、とのこと。
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