いったん読むのを止めようとした「佐々木譲」をまた読んでしまいました。
今回の作品は「暴雪圏」(新潮社)。
佐々木譲の作品の読み始めは「制服捜査」からでした。川久保篤巡査部長が単身で駐在所に赴任し、彼が5つの事件を解決していく、佐々木譲小説の大きな節目となる「警察小説」。
「暴雪圏」には同じ川久保篤巡査部長が登場するのですが、「制服捜査」とはまったく質の異なった作品。
やくざの組長宅に押し入った二人組の強盗の片割れ「佐藤」、出会い系サイトで知り合った男との関係を清算するため、その男を殺そうと企む「明美」、義父の性的関係の強要から家出をこころみる「美幸」、勤めている事務所の金を奪って逃げようとする「西田」らが、爆弾低気圧による暴風雪により道路が雪に閉ざされてしまい、あるペンションに…。
北海道東部をおそう「彼岸荒れ」と呼ばれる暴風雪のすさまじさが繰り返しくりかえし描かれ、その暴風雪が警察、消防、そしていろんな思惑を秘めた人物たちの動きを封じ込めることとなり、ペンションでの一夜につながっていくのです。
最後に、川久保篤巡査部長が事件を解決へと導くのですが、彼の活躍や道警の腐敗などには焦点を合わせず、数多く登場する人物の描写に重きが置かれた作品です。登場人物の描写が、その数の多さにより、薄っぺらなものとなってしまっているのが残念です。
本屋で購入せず、市立図書館で「借りてよかった!」本です。
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